2019年3月23日

サンプルロースター パンチング有りと無し

1. パンチング無し二重ドラム(熱気焙煎)


分解するとこのように、ドラムは2重になってます。
直接火が当たらないので温度上昇には時間がかかります。
メリットは

  • 温度計が使える(ドラム内の温度が測れる)
  • 火力に対する温度変化が緩やか(2重ドラムだから熱伝導に時間がかかる)
  • 多少の蓄熱効果はある
  • チャフが飛び散らない
  • 焙煎中、外気温や風による温度変化は殆どない
ぐらいでしょうか。デメリットは
  • 火を消してもすぐに温度が下がらない。
  • 火力を上げても即座に温度は上がらない。
  • 生豆量に比例して焙煎時間も増える(300g前後で20分以上、500gで30分以上)
  • 400gになると15分では終われない。ガスコンロの火力全開でも20分以上は必要
外側ドラム→空気層→内側ドラムの順で熱が伝わるので、温度変化には時間がかかります。それを予測したうえでの煎りあがりのタイミングを考慮しなくてはなりません。焙煎後10分経過してもドラム内の温度は100度以上を維持します。火傷や洋服の焦げにも注意が必要です。2重ドラムで通気性が殆ど無いとうことが基本性能です。

2.パンチング有り一枚ドラム(直火・熱気通過式)



 早い話が「回転式炙り焼き」です。熱は素通りで蓄熱は出来ません。コンロの火力がそのまま反映します。中火で200gなら6分程度でハゼが来てしまいます。回転数が速いと温度が下がります。回転を止めると勿論焦げます。やがて燃えます。風による炎の揺れや、ドラムに風が入るとすぐ温度が下がります。

メリット
  • 火力に対する反応が早い。(蓄熱はゼロ)
  • 二重ドラムに比べて短時間で焙煎できる
  • チャフがドラムの外に出やすい
デメリット
  • 温度を一定に出来ない
  • 温度計は使えない
  • チャフが遠心力でパンチングの穴から出て散らばる
豆の温度と通過する熱気の温度はイコールではない。風が吹いたら火力が変わる。豆の温度を測る手段がない。焙煎の再現性を上げるには風対策と火力と回転数の固定が必要(困難)。これは一番の欠点でしょう。
 温度測定は非接触型の温度計で豆の表面温度を測ることが可能なら希望がないわけではない。しかし、右手でドラムを回し、左手でレーザーを豆に当てるという同時作業で温度を揃えることは困難。まだ手網のほうがまし。豆に直接温度計を突き刺すこともできるが、回転ドラムではそれも無理。

3.パンチングなし1枚ドラム

外側のドラムを外して内側の1枚だけを使う。
  • 風の影響を殆ど受けないので温度計が使える。
  • 二重ドラムよりは火力に対して反応が早い(蓄熱が少ない)
両方のいいとこ取り。何回かやってみましたが常に同じ温度でハゼが来るので良いのでは無いでしょうか。


※ 私の手順
生豆を投入してから90度になったらタイマーをスタートします。
  • 毎分10度の火力で進めます。湯気が上がり始めると温度上昇が緩やかになりますが私は火力を変えません。ひたすらハゼまで待ちます。
  • 1ハゼ が終わり充分膨らみ艶が出たら終了、冷却。

使い分けとしては

  1. 味で選ぶなら二重ドラム
  2. 深煎りならパンチング
豆の個性を残しつつ鋭い酸味を出さないようにするなら二重ドラム。アイスコーヒーやエスプレッソで深入りまでに焼き上げるなら豆の個性は殆ど死ぬので、早く焼けるパンチングでもよいと思います。いずれにしても家庭用・個人用の器具です。鋳物でできた業務用焙煎機のような蓄熱・熱風効果は望めません。

※ 温度計の使い方

感仕事には限界があります。ましてサンプルロースターにはガス圧計もなく、一定の回転数を維持するモーターもありません。せめてもの目安として温度計だけが頼り。密閉型二重ドラムでは内部の空気温度変化の傾向は一応わかります。目安としては、
  • 温度が上昇傾向
  • 温度が下降傾向
  • 温度が安定傾向
ということが分かるだけです。6秒で1度上昇すれば1分で10度上昇と目安が出来ます。10分では60度上昇ですね。現在100度なら10分で160度になるわけです。1ハゼの温度を記憶しておけば上昇率で時間をコントロールできます。
 デジタル温度計、iPhoneのストップウォッチとメトロノームアプリを使う方法があります。
  1. 先にメトロノームを60にセットし、スタートする。
  2. 焙煎の準備が出来たら次にストップウォッチをスタートする。
耳で秒数をカウントして、1秒ごとに何度上昇するかを掴む。煎り上がり温度までの時間を予測できます。

 

温度計はデジタル式がおすすめです。アナログ式は反応速度が遅いです。デジタルでも100度の温度差を表示するには1分ほどかかってしまいます。瞬時に温度がでるのはレーザー付き非接触温度計ですが、照射範囲(測定範囲)が不明瞭です。


※ いずれにしても家庭用のサンプルロースターですから、プロ用の焙煎機のように正確な焙煎は期待できません。お気軽・お手軽に楽しみましょう。夫婦で最低6杯(毎食後)はコーヒーを飲むので生豆300gで、
  • 90度までは強火。
  • その後は6秒毎に1度上がるよう火力調整
  • 回転数は2秒に1回。
  • 湯気があがる頃温度上昇が鈍くなるので注意。豆の中までよく熱が通っていないと1ハゼの温度が高くなるようです。マメの状態を観察して違いを見つけます。
  • 1ハゼが来たら豆の膨らみ・艶で煎り止めます。
  • 速やかに冷却。(https://www.ishiimitsugu.com/2019/04/roaster-cooler.html
より確実な再現性を望むならフジローヤルDiscoveryが最も安価。豆売りするならフジローヤルの1k釜以上を用意するべきでしょう。

手網焙煎→手回しドラム→電動ドラム→業務用への発展は?

両手水平運動から片手回転運動になってかなり楽です。豆の偏りもないので煎りムラもありません。400gまでと書いてありますが500g入れても容積的にはガラガラです。ただ火力的には同じコンロですから多いほど時間はかかります。
 予算的には
  • 手網が2000円〜
  • 手動回転式は4万円〜
  • 電動式煎っ太郎 30万〜
  • 1kgの業務用FUJ1ROYALなら120万円〜
電動式はテストスプーンに集中できるので欲しいですが便利は値段に比例します。ペラペラピカピカの電動安物はすぐ壊れそうで絶対買いません(ステンレスの薄板1枚のドラムで20万円とか)。買うならしっかり丈夫で部品の供給されているもの。200g以下しか煎れない高額70万円(Discoveryとか)とか500gの30万(煎っ太郎とか)は中途半端で投資の無駄だと思います。どうせ買うなら富士珈機の101以上(120万円)。そうでなければ手網か、落としても壊れないサンプルロースターでそれなりに…。豆売商売をするなら業務用の1kg以上のマシンは最低条件だと思います。温度と時間の管理、固定。500g以下の焙煎機では安定・量産出来ないので物理的に無理があり採算の取れる商売にはならないと思います。

要は、機械が変わっても温度をコントロールしてテストスプーンで見極めるという肝は変わりません。時間と温度の関係。違うのは器具によって調整方法が変わるだけで、最後は同じところで終わりたいわけです。電気式の自動マシンとかは決して買いません。豆の状態を見極めるセンサーはまだ発明されていません。豆の特質を無視した時間と温度だけのパターン焙煎は無駄です。まだ手網の方がましです。


2020年1月22日 追記
  • 燻り臭についてよく言われますがパンチングのある無しに関わらず感じたことはありません。私の鼻がおかしいか・短時間焙煎・長時間焙煎になっているとしか思えませんが…。
  • 基本的に深煎り(2ハゼの終わりまで)は豆の個性を殺すものだと思っています。アイスコーヒーかコーヒー以外の混ぜ物(ミルク・豆乳・香料)でしか使えません。
2020年11月5日 追記
今更ですが、回転による摩擦音が気になる場合は「食品機械用グリース」を小指の先程度を接触部分に塗るだけで摩擦が消えて、音も消えて、回す力もかなり楽になります。塗りすぎると熱でダラダラ流れるのでご注意。

2020年9月1日 追記
余談ですが、リンナイの一口ガスコンロには五徳がついてきます。今までは外していました。なにげにもとに戻してサンプルロースターを台ごと(これも五徳?)載せてみたら誂えたようにピッタリはまる。これ以後は横滑りゼロ。ロースターだけ外すとそのままコンロとしてお湯も沸かせる。