部屋がオーディオを変える

 反射が音を作ります。

 物理的・科学的に根拠が無いことや、やってもやらなくても大差ない些細な音の変化に一喜一憂しているのが「オーディオマニア」。夢中になると全体が見えなくなります。いつの間にか自分は経験豊富、確かで繊細な耳を持っているのにうまくいかないと苛立つ。物理的根拠がどぼしいので時間の経過するほどに行き詰まり、自分は正しいのに駄目だ。やはり安物はダメだと高額機器を買い、さらにはより高級高額機器に買い替え走り、オーディオメーカーの餌食となってしまう。私も初めはその部類でしたが、なんか変だな?終わりがないな…と気付きました。
 音が良くならないのは一にも二にもスピーカーのセッティングを考え直した方がよっぽどの近道です。ほとんどのオーディオ機器は故障していない限り音質に影響はあありません。原因はスピーカーとそのセッティングにあります。

部屋がスピーカーを変える?

 周波数特性が同じで歪みもなければ同じ音で再生できます。現実的に全く同じ周波数特性のスピーカーがあったとしても部屋の反射の影響で特性が変わります。お店で試聴して気に入ったスピーカーを家に持ち込むと全く違う音になるのが普通です。いわゆる数百万円の名機を買っても、全く違う音になるのが当然と言えます。環境が違うのですから、何を買ってもそうなります。

 そんなばかな話?…なんです!。

スピーカーの上下左右の反射の影響で周波数特性はかなり変わります。定在波や歪みの原因になります。特に周りに物がたくさんあり、壁が近い場合は顕著です。部屋が狭いと大型スピーカーは無理です。スピーカー本体が体積を占め、さらに周囲に30cm〜60cmの間隔が必要。そしてスピーカーとリスナーとの距離も必要です。近すぎると各ユニットの音をバラバラに聞くことになります。狭い部屋ではスピーカーと部屋の反射音で合成された歪みを聴く事になります。
 高額な大型スピーカーを購入しても性能とは程遠い音で聴いている人は沢山いると思います。こんなはずじゃなかった。騙されたのか?。むしろ今時のイヤホンの方がいい音でなってくれます。

スピーカーを床・壁・天井から離す

天井との距離はほとんどの人は十分取れていると思うのでここでは無視しています。
  • スピーカー同士の間隔でステレオ感・音のバランス・解像度が変わります。
  • 床から離すと低音の反射・被りが減ります。低音がクリアになります。
  • 後ろの壁とスピーカーの距離で低音の量と音場の奥行きが変わります。近いと低音が増えたりボヤけたり音場が平坦になります。離すと低音の解像度が上がり全体の立体感が増します。
  • 左右の壁との距離で広がり感が変わります。
詰まるところ、壁と床から十分間隔をとると良い傾向に向かいます。直接音と反射音の間に時間差を設けると反射歪みが減る傾向にあります。

スピーカーの向き

  • 内振りで輪郭がハッキリします。
  • 上振りで床の反射が減ります。

部屋とセッティングの例

以下は私の部屋とセッティングの例です。特別なリスニングルームではなくリビング兼用です。

スピーカー

スピーカーのタイプによって違いはありますが長岡鉄男氏設計「D-70バックロードホーン」です。 

  • 20cmフルレンジ「フォステクスFE206Σ(18Ω)」並列 
  •  ホーンツイーター「YAMAHA JA-0506Ⅱ」
  • 高さ 1017mm  幅  492mm   奥行き 562mm 重量 54kg
床に直置きする前提で設計されています。ユニットもエンクロージャーもオリジナル設計のままです。  45年前に制作しましたが全く衰えていません。

因みにアンプは
  • FX-AUDIO- D802J++ 光接続フルデジタル
  • ソースは主にYoutube
とお金はかけません。


部屋は長方形

1戸建ての平屋で、外壁はモルタル。和風建築です。
  • 幅 3m60cm
  • 長さ 6m30cm
  • リスニングポジションはスピーカーから2m30cm
14畳のフローリング・壁は石膏ボードと安価な仕様です。


セッティング

  • 左右の間隔 スピーカー左右のツイーターの間隔は223cm。フルレンジ2発横並びなのでこのくらい間隔を開けないと中央で音がだぶり解像度が下がります。
  • 後ろの間隔 後ろの壁からスピーカー前面までは90cm 。これ以下だと低音の解像度がぼやけます。3cm単位の移動で低音の量がかなり変わります。 
  • 内振り スピーカーの右角を4.5cm後に下げて内向きに。フルレンジ2発横並びなので正面向きでは指向性が下がるので輪郭と透明感を出すには内振りが必要です。左右の壁も近いので反射を減らすことにもなります。
  • 上振り 前面下側に2cmの角材を入れてスピーカーを少し上向きにしています。床からのホーン開口への戻り反射を減らして、160Hz付近の土管臭い響きを減らしています。ウーファーユニットが低い位置に付いてるスピーカーでは台の上に乗せて床から離して反射を減らします。
  • スペーサー セッティング時に移動しやすくするために底面に2cm角の百均の粘着付きフェルトを四隅に貼り付けています。音に影響はありません。
ホーンの開口部に吸音材を敷かない方が歯切れが良く活発なサウンドが楽しめます。右のスピーカーの開口部の前にソファがありますが、スピーカーユニットは遮っていないせいか聴感上に問題は出ていません。

オーディオも生活の一部です

 
 ごちゃごちゃのリビングですがそれが生き方の正解だと思っています。人間性を表示するのが部屋です。オーディオも人間性の一部です。楽しく生きるための要素の一つがオーディオです。音はスケール大きく且つ透明感もあり、どこで聞いてもそれなりに楽しめるセッティングです。食事のBGM、ジャズクラブ、コンサートホール、映画館のように、生活のイメージ作りに一役かっています。(メインスピーカーの後、奥隅にぶっとい柱のように見えるのは長岡鉄男氏設計 DRW-MKⅡ。30Hz以下の超低域補強用のスーパーウーファーです。滅多に使いませんが。)

お金をかけるならスピーカーです

オーディオシステムの中で最も音の変化が期待できるのはスピーカーです。特にスピーカーの大きさです。スピーカーユニットの大きさとスケール感は比例します。低音用スピーカーユニットの口径が10cmと30cmでは再生できる低音に限界があります。いわゆる名機と言われる、JBLやタンノイ・アルテックのユニットは15インチ(38cm)です。大きいだけではなく、磁気回路も強力です。これら名機には欠点もあります。車や家に近い価格です。数百万円。私は価格で諦めざるを得ませんでした。予算がないので長岡鉄男氏の自作スピーカーを選択しました。学生さんや若者の救世主です。それでもいいものを求めると1台7万円、ペアで14万円。

その自作も今となってはユニットが手に入りません。長岡氏が亡くなり、メーカーがユニットを生産中止に…。

では既製品で、しかも安くても音の良さそうなスピーカーを選ぶ方法があります。スピーカーの仕様をチェックします。主なポイントは三つ。
  1. 周波数特性が広い 人間の耳は20Hz〜20kHzまで聞こえます。これをどの程度カバーできるかが重要です。
  2. 出力音圧レベルが高い 90dB以上を狙います。信号に対する反応速度・繊細さに関わってきます。(私のスピーカーは102dBです!)
  3. 指向性が柔軟 視聴角度によって周波数特性が変わらないのが優秀です。
この三つの数値がどの程度かで価格との折り合いをつけます。仕様を公開していないものは信用できません。要注意です。
私のD-70は出力音圧レベルが長岡鉄男氏の実測で106dBとしています。これが決定要素になりました。周波数特性もバックロードホーンの効果で30Hzまで伸びています。指向性はセッティングで何とか。

Youtubeは高音質ですが

 YouTubeなどでいい音で鳴っているスピーカー。ほとんどが近接録音や正面録音が多いです。反射の影響を受けない録音方法を考えているはずです。マイクが画面に映っていて録音方法がわかるのが良心的です。録音方法と映像が必ずしも同じとも限りませんが、お人柄次第でしょうか。
 「この高価格のスピーカーは部屋を選びません。スピーカーが部屋を支配します。」と平気で言ってる売主さんもいますから。

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