囁き爺

私の父は、同じ弘前市内に住んでいる。しかし、当時のアフガン戦争に於ける「自己責任問題」で意見が合わず仲違い。それから数年まったく会っていない。ま、何かと馬はあわない方だが嫌いな訳でもない。血も繋がっているし、憎めない人である。

それから五年ぶりだろうか、ひょっこりチェンバロに来店。
久しぶりに私を見た父は、私が痩せすぎだと驚いていた。食事や運動でストイックに健康を考えて・・・、と事の経緯をどれほど説明しても、昭和一桁生まれの父には意味不明。食べても太らないのは妙だと、1時間もの間、病院へ行けと説得される始末。妻にも嘆願する。

それからまた、随分しばらく音沙汰なかったが
昨日、私はチェンバロの外で黒板を書き直していた。
後ろから、

「病院、行ったか?」

と耳元で囁く老人。突然の囁きに驚いたが声の主は父だった。
店内で好きなコーヒーをすする間、前回と同じように、病院へ行けと説得を始めた。私はもう二年以上どこもなんとも無いから、癌でもないと説明する。しか、しどう説明しても「沢山食べて太らないようにする」ということが理解出来ないようだ。終いには

「みっともないし・・・」

と小さく吐き捨てるように言いい、帰っていった。

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